Crags

Takeo/Phnom Bei Sambao

・概要
タケオ州南部ベトナム国境付近には顕著な花崗岩の山塊がある。プノンベイサンボーはその中でも際立った岩峰だ(標高467m)。ブッシュは多いけれどカンボジアの山のなかではすっきりしていて我慢のしどころだろう。山麓をぐるっと廻るリング状の悪路の両側にはボルダーが塀のように続いていて驚かされる。2006年12月にチェンマイ/クレージーホースバットレスの開拓者として知られるジョッシュ・モリス(Josh Morris)らがその北面のクラックシステムに5ピッチのラインを引き、The Spirit of Mokwai (5.8 X, 5 pitches, 300m)とした。エリアとしての初登と思われる。グレードは低い(5.8)が、プアプロの冒険的なルートだ。山麓には無数のボルダー課題が眠っている。

・位置
タケオ(Takeo)州深南部

・アクセス
プノンペン(Phnom Penh)から南へ向かい、途中タケオを経由、キリボン(Kilivong)を目指す。乗り合いTAXIで2時間〜2時間半。また、カンポット(Kampot)からアプローチすることも可能だ。コンポントラッチ(KompongTrach)からバンテアイメアス(BanteayMeas)を目指し、さらに真東へ30kmほどで花崗岩の岩峰群が見えてくる。道は悪いが通常のセダンで走れる。

・ギヤ
残置はモリスらのビレイポイント以外にはないと思う。ラペルに使えるような都合の良いブッシュもカンボジアでは無いと考えた方がよい。新ルートを目指すなら50m以上のロープ、カム、フリーのカラビナ、スリング(それぞれ、それなりのセット数)の他にジャンピングセットがあれば心強い。

・ルート
現時点で同エリアに入ったのはモリスらのあと、私たち(ACN)だけだろう。その後の記録は見ていない。既存ルートはモリスらの1本のみ(3ピッチ目のラインは左右2つ)。クラックはフレアーしていてランナーはほとんど取れない。
The Spirit of Mokwai (5.8 X, 5 pitches, 300m)
3P目
左: Diamonds are for Never (5.8 X, 50m) ・・・オリジナル
右: The Bo Fang Variation (5.7 X, 50m)  ・・・バリエーション

・トポ

Climbing Route Guide Book




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カンボジア・クライミング・ルートガイドブック
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・その他
プノンベイサンボーを囲むリング道路沿いに小さな集落がいくつかある。密林をクロスして取り付くまでのトレールは錯綜としており、集落でガイドしてくれる方を探した方が良い。僅かな謝礼でやってくれる。一帯の地雷はクリアされたと聞いているが、安易に信用しないのが鉄則だ。地元の方は死活問題なので良く知っているだろう。 蛇足だがコンポントラッチの岩場から北東へ1時間ほど行ったバンテアイメアス(BanteayMeas)に広大な石灰岩の岩峰群がある。クライミングについてはまだ全くの手付かずだ。岩壁中段の洞穴に寺院があり、聖地ではあるがお陰でセメント会社からは守られている。





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