Crags

Sisopon/Cliff Temple Rock



・概要
カンボジア北西部、バンテアイ・ミンチェイ州シソポンにある"崖山寺"の裏手に連なる石灰岩岩峰群に早くから着目していたのはシェムリアプでゲストハウスを経営している西村清志郎氏だ。2009/2に私たちが開拓したスペース・シャトル・タワー(Space shuttle tower)はその西端のピークで、カンボジアのクラッグのなかでもことのほかすっきりしている。アプローチも容易で今後さらにルートは増えるだろう。取り付きは外傾したテラスで不用意に動くと危険だが、高度感のあるビスタポイントでもある。ゆったりとしたシソポンの町全体が見渡せる。左端から裏へ回り込むように上がると奥まったところが少し広くなっていてくつろげる。工夫すれば直射日光もある程度は防げる。もし暑くてどうにもならないときは、同じ広場から裏に出来た自然のクーリングルーム(通称コックピット)がある。3級のクライムで3m縁を登って中へ降りれば数分で生き返る。
一方、同じ石灰岩岩峰群の中央東寄りに"崖山寺"の急な参道が頂稜へ続いている。トップまで辿り北側に回りこむと、林の中に高さの無い石灰岩の壁が切れ切れに現れる。日陰が多く風通しも良い。一帯を"神々の寝床"と呼び、子供や初心者向けのエリアとして開拓を続けている。取付きは概ね平らで初心者でもほとんどプレッシャーを感じないだろう。壁の基部にネーミングの由来となった小さな土着神(ネアクター)がある。合掌を絶やさないように。

・位置
バンテアイミンチェイ州/シソポンコミューン

・アクセス
シェムリアプをベースにすれば日帰りも出来る。市街から6号線をタイ方面に約100km。車(タクシー)で2時間だ(2011年5月時点で往復$60が相場)。シソポンはスバーイという地名が地元の人には一般的だ。運転手にはスバーイと伝えるのがよい。目印は「ワット・プノン・チョンチアン」、クメール語で崖山寺という意味のパゴダだ。神々の寝床(Gods's bed Area)へはこのパゴダの参道を登る。スペース・シャトル・タワーへは国道をポイペト方面へ向かってパゴダの入口を越し、ゲストハウス(PYN's Place、黄色い看板が目印)を目指す。ゲストハウスと市場の間の細い路地を入り、民家を抜ける。取り付きまで10分の急登だ。

・ギヤ
ロープは50mでOK。クィックドローは10本。ビレイ用に長めのスリングが必要

・岩壁の特性
石灰岩だが、ケーブ内のルートを除くと概ね傾斜は90°前後が主だ。スペースシャトルタワーは高度感もあって見栄えがするが、核心は中央ののっぺりした垂壁に集中している。大きな雨樋のような溝を辿るが、淵が刃物のように尖っている。ロープの流れに注意されたい。神々の寝床エリアでは風化の激しい部分がブロックごとごっそり落ちたことがある。終了点のアンカーにはブッシュやカムでバックアップをとるように勧める。

・ルート
スペーシャトルタワーには現在7本のルートが開かれている。左端の'29'(5.10a)を除き、メインウォールは概ね安定している。神々の寝床エリアは子供用のTR課題が中心だが、ケーブ内に5.12d、5.12aのややハードな課題もあり、中級者にもそれなりに楽しめるだろう。

・トイレ
無し。(入山前に済ましておきたい)

・食事
国道沿いの市場で不自由はない。果物やパン、水などはシェムリアプよりも安い。

・駐車
宿泊したり、帰りに食事を注文するならといった条件付きでPYN's Placeゲストハウス(後述)に置かせてもらえる。無料。

・脅威
陽射し、蚊、蟻、蜂、蠍、蛇

・宿泊
PYN's Placeゲストハウスはクライミングの拠点に最適だ。レストランからはスペースシャトルタワーが見える。宿泊は1ルームシェアでUS$10。英語OK。頼めば食事も作ってくれる。ただしイタリア料理のみ。

・トポ
Climbing Route Guide Book




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