Crags

Phunm Kulen/East-end/Seven Pillars of Wisdom



・概要
プノンクーレンはアンコールワットの北東60km付近に屏風のように連なる山脈だ。東西約25km、南北3〜8km。日本なら関東・奥武蔵の低山といった趣だが真っ平らなシェムリアップにあっては貴重な"高地"と云える。アンコール文明の発祥地として名高い。だが内戦の激戦地で、少し前まで周囲一帯には地雷や不発弾が無数に残置されていたと聞く。現在ではかなり除去されたらしいが、正確なデータは公開されていない。頂上台地は概ね平らで集落もある。北側の外縁には等高線が詰まっていくつかのピークが形成されている。最高峰で487mと地図には記されている。全域アンコール遺跡を包括管理するアプサラ機構の管理下にある。なのに西側のほとんどは個人所有の観光地で入域料を取られる。また頂上台地の密林にはアンコール、プレアンコールの遺跡が多数眠っているらしい。一方プノンクーレンは全山が粗粒砂岩の固まりでクライミング資源となるクラッグは大げさではなく無限にある。しかし前記のような状況からクライマーは拘泥する姿勢を強いられている。2007年春、東面の生活路脇に転がるボルダーにルートが引かれた。標高差100m、距離700mの間に顕著なボルダーが7つ以上ある。一帯を"知恵の七柱ボルダー"(Seven pillars of wisdom)と命名。リードルートはそのうちのチエ岩(Chie-rock)に、私たちが2008年に開いた。

・位置
シェムリアップ州/シェムリアップ郡/スバイルーコミューン

・岩壁の特性
概ね節理のない固い粗粒砂岩(グリッドストーン)。ただし多量の雨による浸食と風化が著しく、表面の脆い部分もある。同じ理由でクラックがあればそこから崩壊、もしくはごっそり剥離することがある。テラスにはノブ状の突起が発達していて良いビレイポイントになってくれる。しかしノブ自体が岩盤から切り離されてしまう場合もある。にも拘わらず様々な理由でアンカーはペッツルのジャンピングで打たれた。ハンガーはアルミ、もしくはステンレス。ボルト径は8mm。現代のスポーツクライミングには勧められない浅い(25mm)埋め込みボルトだ。従って、アンカーには必ずバックアップを取るように。2重でも3重でも。気の済むように。現時点では、経験深いクライマーにしか勧められない。(近い将来スポーツクライミング用のアンカーに打ち替えることになるだろう)

・ルート
10本のラインが開拓されている。グレードは5.6〜5.11+。リードルートは5.10クラスの3本のみ。高さは10m弱。傾斜は垂直から薄被り。カチルート。短いがだれるところがない。雨季の後はガーデニングが必要。

・アクセス
タクシーでスバイルーまで1時間強。バイクでも可能。平地20分の歩きで登山道入口。登山道を5分ほどで最初のボルダーに着く。チエ岩までさらに15分の登り。

・トイレ
無し。(入山前にスバイルーのレストランで済ましておきたい)

・食事
果物、フランスパン、水はスバイルーで買える。レストランではクメール定食のランチパックを作ってくれる。安くておいしい。

・駐車
無料

・脅威
陽射し、蚊、蟻、蜂、蠍、蛇、地雷、不発弾、酔っ払い

・宿泊
通常はシェムリアップから日帰り。スバイルーにはゲストハウスもある。タペン村の民家に交渉すれば泊めてもらえる可能性あり。ただしチエ岩から30分登る。

・トポ
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